自転車社会学会2007/2/11作成
改正道路交通法に関する警察庁事務方の報告

澤田です。一昨日(2007/2/7)、衆議院の議員第一会館で自転車推進議員連盟の総会があり、私も取材で出向きました。この場には警察庁・国土交通省・文部科学省の事務方も出席。サイクリストの間で話題となっている改正道路交通法の問題について報告がありました。結論を述べますと、少なくともこの報告の内容の限りでは、当初懸念されていた「幹線道路における自転車の車道通行禁止」は回避されたようです。報告のうち、警察庁関係の発言をテキストに起こしました。長文ですが、どうぞご覧ください。


現在政府は、平成24年までに交通事故死者数を5000人台に減らすという目標を掲げており、昨年から第8次の基本計画をスタートさせた。そのなかで自転車の問題は大変重要な課題の1つ。昨年には有識者からなる自転車対策を考える懇談会を開催し、国土交通省や文科省からも参加して、自転車の安全利用の総合対策の一環として道路交通法の一部改正を考えている。
自転車に関する交通秩序の回復がねらい。とりわけ現在無秩序に走行してる歩道上自転車の正常化について。自転車の走行は究極のところ、車道に自転車の安全な走行空間が十分にないところから生じているので、これを是正しながら秩序の回復を進めていく。これは時間はかかると思うが、どうしてもやらなければならない課題となっている。現下の交通状況やそれから環境対策の面で、自転車の利用促進が求められている。腰を据えた自転車総合対策が求められている。

自転車が関連する交通事故が増加している。自転車が被害者となる対自動車の事故もそうだし、自転車が主に加害者となる対歩行者の事故、いずれもが増加している状況。現行の道路交通法の規定に反して、自転車利用者が無秩序に歩道を通行している実態がある。そこで警察としては、自転車に関する事故を防止するために、なによりも自転車の交通秩序の正常化を図る必要があると考えている。
そのためには、車道歩道両方の自転車の通行環境の整備をするとともに、安全教育・指導取り締まり等を通じて、自転車のルールの遵守を徹底する必要があり、これらを関係機関のみなさんと連携しながら並行して推進することにより、自転車の交通秩序の正常化の実現が図られると考えている。
警察庁では、自転車の安全利用の総合対策を推進することとしているが、その前提として自転車利用者にルールの遵守を強く求めていくことが必要だと考えている。自転車の通行ルールを自転車利用者が守ることができる、また、守らせることのできるルールとすることが必要であると考えている。そのために車道通行の原則を維持しながら、その徹底を図ることとしつつ、歩道を通行できる要件の見直しなどを内容とする道路交通法の改正を行い、さらに交通の方法に関する教則についても全面的に見直しをして、より具体的なルールを示すことにしたい。

[自転車の通行ルールに関わる制度改正について]
昨年開催された有識者による懇談会においても、自転車に関する〓を基本として自転車の通行空間のあり方について検討されたわけである。異なる交通モードはその通行空間を分離することが望ましいという意味で自転車道を整備し、自転車の通行空間を一本化することが最も望ましい。
しかし、多様な年齢の人が多様な用途や目的で自転車を利用しているという現状があり、わが国の道路事情を踏まえると、自転車の走行環境を全面的に分離することには限界がある。現実的には車道通行を原則としつつ、例外的に歩道通行を認めざるをえないと考える。例外的に歩道通行を認める要件は、現状の実態のように自由に歩道通行することを認められないことは当然である一方、道路標識で示された場合のみ歩道通行できるという現行の規定では、歩道ごとに一律的に通行ができるあるいは通行ができないと、画一的にならざるをえないということで、実態として利用者によっては守ることがむずかしく、徹底を求めることが困難。
そこで、法改正を検討する内容に入る。現在、道路標識などにより通行が認められている場合のほか、児童・幼児が運転する場合や、危険を回避するためにやむを得ない場合に限定して、歩道通行できる要件を法律上明確にすることを検討している。これは先ほど申し上げたように、自転車に関する総合対策を推進するうえで、自転車利用者が守ることができる通行ルールとしつつ、その徹底方策を強力に推進しようとするものである。
また、その徹底の内容というのは、自転車の通行に関する正常化の目的であり、現在は自転車が自由に歩道を通行している状況にあるため、要件に該当しないにもかかわらず歩道を通行している自転車利用者には、車道通行を促す方向になるものと考えている。
したがって、現在よりも自転車の歩道通行が増えるような事態は生じないと考えているが、もとより歩道上での歩行者の安全が脅かされることがないよう、歩道での自転車の悪質危険な違反に対する指導取り締まりも強化することとしている。
なお、歩道を例外的に通行できる要件の1つとして、昨年末に公表したパブリックコメントの試案においては、車道を通行することが危険である場合としていたが、これは資料にあるように、危険を回避するためにやむを得ない状況と考えているものであり、かなり限定された状況であることを今後法文上明らかにするとともに、可能な限り具体的にどのような場合に該当するかを交通の教則などで明示することとしたいと考えている。また、改正試案のこの部分について、昨年懇談会がまとめた提言との関係で、警察庁が今後、自動車交通量の多い幹線道路などについて自転車の車道通行を禁止しようとしていると受け止められた向きもあったようだが、警察庁として、そのような措置を進めるねらいはなく、また、現実に自転車の車道通行を原則として秩序の回復を図る以上、自転車の車道通行を禁止する措置を優先するような政策はとりえないということははっきりと申し上げておきたい。
法改正と合わせて警察が実施をすることとしている自転車対策の具体的な内容のうち、自転車の通行環境の整備について。通行環境の整備については、道路管理者との連携が必要で、今後、関係当局とも連携しながら、警察として整備を積極的に進めてまいりたいということでイメージした。
まず進め方としては、車道における自転車の通行環境が不十分な箇所、あるいは自転車歩道通行可の規制が実施されている歩道で、歩行者の安全確保の観点から問題がある箇所などについて変更するため、今後、各警察署において、自転車通行の多い道路を中心に、自転車の通行環境の点検を行っていきたいと考えている。
その点検結果に基づいて、たとえばモデル路線やモデル地域を指定するなどして、道路管理者と連携しながら、計画的に車道および歩道の自転車通行環境を整備していきたいと考えている。こうした通行環境の整備と合わせて、その地域で特に重点的に広報すべき内容については広報し、真にルールの遵守の徹底が図られるようにしてまいりたいと考えている。
通行環境の整備の具体的な方法については、車線を見直して車道の左側に自転車レーンを設置するとか、あるいは幅員の広い歩道で自転車の通行している部分がある場合には、それを物理的になんとか分離するとか、さらには車道の自転車レーン部分や歩道の自転車通行指定部分をカラー舗装により視覚的に分離するなどの措置を考えていきたい。
また、車道の環境整備に合わせて、自転車の歩道通行可の規制の解除等についても今後検討してまいりたい。

[ルールの遵守の徹底方策について]
まず今回の法改正、あるいは今後行われる交通の教則等の改正を契機として、自転車はどこをどのように通行すべきかという基本、ルールについて、広く国民に広報啓発を行っていきたいと考えている。従来、小学生を中心に自転車教室等を実施しているが、学校当局と連携して、中学高校生に対しても自転車安全教育を徹底していくほか、自転車安全教室の対象を、子供の保護者あるいは高齢者などにも広げていきたいと考えている。
運転免許保有者に対する安全教育についても、今後、車道を通行する自転車が増えるであろうことを念頭において、ドライバーとして自転車との事故を防止するために留意すべき事項を知ってもらうこと、あるいは免許保有者も自転車を乗るときにはルールをしっかり守ってもらうという両方のねらいから、指導教育を徹底してまいりたいと考えている。
今後、このような広報啓発や安全教育を積極的に行うとともに、自転車に対する街頭指導、悪質危険な違反に対する取り締まりをなお一層強化していきたいと考えている。警察官がパトロールなど日常活動を行うなかで、街頭指導を積極的に実施をすることとしているし、地域の交通安全活動推進委員や交通指導員などボランティアとも連携しながら、街頭指導を重点的に行いたいと思っている。
自転車利用者に対する指導取り締まりは近年強化をし、昨年4月には全国警察に対して、とくに悪質危険な違反への交通切符を適用した積極的な検挙措置を指示している。その結果、昨年は全国で約145万件の指導警告を行い、交通切符を適用した検挙事例も268件に上るなど、従来に比べて相当取り締まりが強化されているが、今回の法改正が行われた後には、歩道で歩行者に危険を生じさせる暴走行為などについても、警告や検挙措置を推進していきたいと考えている。

文責:澤田 裕


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